賞状の書き方では句読点をつけるのはNG│正しい書き方の解説
表彰のシーンで手渡す賞状の作成方法にはルールがあります。特に気をつけたいのは、賞状の本文に句読点を使わないということです。
賞状の体裁には他にもたくさんのルールがあるので、1つずつチェックしていきましょう。
賞状の文面に句読点を用いない理由
賞状には数行の文章を記載するのが一般的ですが、この文面に句読点をつけることはありません。その理由は古代中国の伝統に由来するといわれます。
中国では宮中行事で使われる下知(げじ)と呼ばれる命令書など、あらゆる文書において句読点をつけない慣習がありました。ただし、句読点がなければ文章が分かりにくくなってしまうことがあります。この場合には1字分を空白にしたり、改行したりすることで対処していたといいます。
中国の文書が日本に伝来した際にも、句読点をつけないのが前提とされていました。日本の文書に句読点が使われるようになったのは明治期以降と意外に最近のことです。
明治期に句読点が使われるようになったのは、文章を読みやすくするためです。しかし、教養のある人は句読点がなくても問題なく文書を読むことができます。
賞状とは相手を敬って手渡すものです。そのため、句読点をつけるということは「相手が句読点をつけなければ文章が読めない」と見下していることになると考えられました。つまり、賞状に句読点を入れないのは、相手への敬意を示すためのマナーなのです。
また、句読点は区切りや終わりという意味をもちます。この意味合いが、表彰や祝いの場にふさわしくないとされるために句読点が使われないという説もあります。
賞状はお祝いのおめでたい場で相手への敬意を込めて渡すものです。慣習となっている正しいルールに従って作成することが何よりも大切です。
賞状作成時に気をつけたいポイントは他にもたくさんある!
賞状の作成において注意したいのは句読点を使わないことだけではありません。
賞状の体裁には他にも以下のようなルールがあります。賞状作成時には、以下のようなルールを遵守してレイアウトを整えていきましょう。
1. 文頭の1字下げをしない
文書類を作成するときには、主文の書き出しを1マス分下げることがあります。しかし、賞状の主文で文頭を1字下げることはありません。
文章の頭は同じ高さに揃えるよう意識して賞状を作成しましょう。
2. 結文に移る前に一度改行する
賞状にはやや長い文章を盛り込むこともあります。ただし、主文の途中で内容に区切りがあったとしても改行を入れることは基本的にありません。
最後の一文にあたる結文では一度改行できます。結文の書き出しにあたる「よって」「ここに」など、文章の直前で改行して仕上げましょう。
なお、改行して結文を記載する際にも、文字の1字下げは行いません。
3. 行数は2〜10行にとどめる
賞状の文章はできるだけ簡潔にまとめるのがマナーです。盛り込みたい内容がたくさんある場合でも、文章が冗長になってしまうのは避けたいものです。
賞状の行数は短いものであれば一文、2行程度となります。例えば修了証書や卒業証書の場合、記載するのは「あなたは本校で○年の過程を修了したことを証します」などの文章のみなので、本文が2〜3行程度に収まります。
賞状の文章が長くなる場合であっても10行までに収めるのがよいでしょう。受賞者の功績について長々とまとめるのではなく、短文ですっきりとまとめることが重要です。
4. 状況に応じて文字のサイズを調整する
賞状の一行に入れる文字の数は同じに揃える必要はありません。漢字はひらがなよりもわずかに大きなサイズで記載するケースが多く、一行の文字数が多少少なくなります。逆に、ひらがなの多い行は文字数が多くなることがあります。
賞状の主文に熟語を入れるときには、熟語の途中で改行しないよう心がけましょう。また、「は」や「へ」、「を」などの助詞は、行の頭の文字にならないよう調整したほうがよいでしょう。
熟語があるときや助詞を入れるときには、その前後の文字のサイズをうまく調整していきます。1つの語句が2行に分かれたり助詞が行の頭に来たりしないよう、きれいなレイアウトに仕上げていくことが大切です。
5. 表彰状専用の用紙を使用する
表彰状を作成するときには専用の用紙を選びましょう。画用紙などに賞状の文面を印刷すると、チープな仕上がりになってしまうことがあります。
高品質で十分な厚さがあり、鳳凰模様や五七の桐の枠が描かれた専用の用紙が使われるのが一般的です。
賞状の種類とそれぞれの役割をご紹介!
賞状には以下のようにたくさんの種類があります。
・賞状
・表彰状
・感謝状
・認定証
・免状
・卒業証書
・修了証書
優秀な成績や功績を讃えるときには賞状や表彰状という表題を用います。また、善意の協力や功労に対して感謝状を贈呈するケースも多いです。
資格試験や評価審査に合格したときや、一定の過程を終えたときなどには、認定証や修了証といった表題を用いて賞状を作成します。
重要なのは、賞状の表題と本文の内容を一致させることです。表彰状であれば「表彰します」「讃えます」、感謝状の場合には「感謝の意を表します」「謝意を表します」といったようにまとめましょう。
賞状の正しい書き方のルールをチェックしよう
賞状には定められた体裁があるので、ルールに従った形に仕上げていきましょう。具体的には、以下のような順序で文字を入れていくと形式の整った賞状に仕上がりやすくなります。
1. 表題を決める
まずは賞状の表題をどのようにするか決めましょう。表題には賞状、表彰状、感謝状、認定証などさまざまな種類があります。状況に応じて、最適な表題を選ぶことが肝心です。
表題の文字は本文の1.5倍くらいの大きさにするのが一般的です。賞状をパッと見たときに真っ先に表題が目に飛び込んでくるよう、大きく太字で記載します。
ただし、表題のみが大きくなってしまうと全体のレイアウトが崩れてしまうこともあるため、賞状全体のバランスをチェックし、表題を最適な大きさに整えましょう。
2. 受賞者名を記載する
表題のすぐ左側には賞状を受け取る人の氏名を記載します。
表彰状や感謝状の氏名には、一般的には「殿」という敬称をつけますが、「様」としても問題ありません。賞状や免状、認定証、卒業証書などには敬称をつけないことがあります。
受賞者名のフォントサイズは表題よりも小さく、本文よりも大きくしましょう。敬意を示すため、受賞者名は贈呈者名よりもやや高い位置から、やや大きなフォントサイズで書きます。
受賞社名の上部や右上に順位を書いたり、学年や社名、所属などを記載したりするケースもあります。
3. 主文を記載する
受賞者名を入れた後に本文を書いていきます。
主文の冒頭には受賞者に呼びかける語句を使うのが原則です。個人に向けた賞状であれば「あなたは」「貴殿は」などの言葉を選びましょう。団体向けの賞状では「貴社」「貴校」「皆さん」などの言い回しを状況に応じて選ぶのがよいでしょう。
本文の内容はできるだけ簡潔に表現しますが、何を賞するのかが分からなくなってしまっては意味がありません。どのような功績を上げたのか、なぜ賞するのかという点については、具体的に記載したほうがよいでしょう。
文章は冗長にならないようまとめたいものですが、難しい言い回しを多用すると内容が分かりにくくなってしまいます。一般的に使われている言葉を選び、平易な言い回しの主文に仕上げていきましょう。
本文には句読点を入れず、始めの一行を下げないようにして書き始めます。主文は基本的に改行せず、結文になるときに一度だけ改行します。
表題を賞状としたときには「これを賞します」、表彰状であれば「これを表彰いたします」などのように、表題と結文の内容を一致させることが大切です。
4. 贈呈日を記載
続いて賞状を渡す年月日を記載します。年号は基本的に西暦ではなく元号を選びます。
贈与の日時が決まっていないときには、その部分を空白にしておき当日結果が分かってから書き込めば問題ありません。
5. 贈呈者名を記載
最後に、賞状を贈与する団体や個人の氏名を記載します。会社名や団体名、肩書きなどはやや小さめに記載するのがマナーです。
代表者の氏名は本文よりも少し大きめ、かつ受賞者の氏名よりもやや小さめに書きます。
代表者の氏名の下部には押印するため、数センチの隙間を開けておきましょう。
6. 押印する
後は、贈与者名の部分に押印すれば完成です。賞状の押印は証書を発行した証になるとともに、贈呈者が本人であることの証明でもあります。
社名や団体名の部分には社名などが入った角印を、代表者指名の下に代表者の丸印を押すのが正しいマナーです。しかし最近では、社印のみを入れるケースも増えてきました。
角印や丸印は、本文の行の下部の高さと揃えるようにするときれいに仕上がります。
なお、贈呈者が外国人のときには、代表者の押印ではなくサインを入れることもあります。
賞状は文章やレイアウトなどのルールを守って作成しよう
賞状に盛り込む文章の体裁には細かいルールがあります。ルールを無視して賞状を作成すると、まとまりのない仕上がりになってしまうので注意しましょう。
特に気をつけたいのは句読点を使わないことや、1字下げせず文頭を揃えることです。体裁のルールを守り、スッキリとしたレイアウトの賞状に仕上げましょう。
賞状を作成するにあたって文章の選び方やレイアウトに悩むこともあると思います。手軽に賞状を作成したいのなら、専門業者に依頼するのが最適です。
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